ゲット・アウト

ゲット・アウトの評価・感想・口コミ

ゲット・アウトの評価
トムメイソン 男性 20代
(5.0)

※以下、ネタバレがあります※

この映画は社会風刺をホラーと交えて構成されている。見終わった際の最初の感想は、ただただ恐ろしいというものだった。人種差別、人種差別に反対する無知なリベラル白人、このような現代に渦巻く終わりのない問題がテーマとなっている。

本編では、黒人の主人公が白人の彼女の家に挨拶に行くことになる。彼女の親は黒人に対して差別的意識を持っていないという。彼女の家に向かうと、たしかに盛大すぎるほどの歓迎を受ける。しかし、使用人が全員黒人であることや、パーティーに参加する人はみな白人であることに気が付く。

また、果たして主人公が白人だったらこれほどの歓迎は受けていただろうか。このような差別は目に見えないところで存在している。自分は差別主義者でなく、自らが善人だと信じている人の中にも、差別意識はなくなることはない。差別だと言って過剰に持て囃し有色人種を逆に生きづらくさせている人間は、差別している人間とどちらがタチが悪いのだろうか。最後、結局白人彼女とその家族たちは主人公に牙をむく。ただし、そこに存在しているのは差別だけではない。黒人への嫉妬だった。しかも、その嫉妬も尊敬を含むものではなく、黒人人種の優秀な身体的能力を試し乗りするようなものだった。

彼女の一家は黒人の体に、自らの脳みそを移植して長い間生きながらえていたというのだ。黒人の肉体は、まるで白人の駒のようだ。これまでの歴史でも、黒人の肉体労働は白人の駒として扱われてきた。それの延長かのように、黒人の精神を肉体から切り離し、自らの肉体として楽しむ。心から恐ろしいと感じた。

しかし、黒人奴隷というものはホラー映画の中のものでなく、実際の歴史である。この映画はあくまでフィクションのホラー映画であるが、ただただ面白い映画だったなどと言える権利は誰にもないのではないだろうか、と考えさせられた。